生活習慣病
生活習慣病(高血圧、脂質(コレステロール、中性脂肪)異常症、糖尿病)について
生活習慣病とは、日々の生活習慣の乱れから引き起こされる疾病の総称で、日本人の3分の2近くの方がこの病気で亡くなられています。 そこでこの病気を予防、管理することが日々健康な生活を過ごすために大変重要なことであるとされています。 このうち特定健診の項目にも含まれ、数多くの方が指摘されている高血圧、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病について当クリニックでの治療方針をお示しします。
生活習慣の改善
全ての疾患に共通することとして、バランスがとれた適切なカロリーの食事を規則正しく摂取するということが大切です。その上で個々の疾患に合わせて塩分、コレステロール、糖質、炭水化物摂取量の制限等を検討します。 食生活の改善は非常に大切ですが長期にわたり継続できなければ意味がありません。 患者様の仕事、生活環境等の生活パターンに合わせて調整していきます。 必要があれば専門の管理栄養士による指導も紹介可能です。
高血圧
最初に患者様の正確な血圧値の把握から始めます。
健診やクリニックでの血圧測定だけではいわゆる白衣高血圧に対して過剰な治療を行なう可能性があり、近年自分で測る家庭血圧値の重要性が指摘されています。
当クリニックでも職場での測定や自宅での自己血圧計の測定を勧めています。
すでに個人で血圧計をお持ちの方は一度クリニックにご持参いただき、数値等調整の上自分で測定し、数値を記入した血圧手帳を参考に治療の方向性を決定します。
年齢、家族歴、合併症の有無、生活習慣改善の可否等を総合評価し、薬物治療が必要であれば開始します。薬物治療を開始しても少しでも少ない量でコントロールできるよう継続して生活習慣の改善を指導していきます。
脂質(コレステロール、中性脂肪)異常症
- 頸動脈超音波検査での動脈硬化病変
従来高脂血症と言われていた疾患で、脂質異常症の中には悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が高値、中性脂肪(TG)が高値、善玉コレステロール(HDLコレステロール)が低値の方が含まれます。このうち悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が高値の方は頸動脈超音波検査にて頸動脈の動脈硬化の現状を評価し、年齢と比較して過度の動脈硬化が認められれば薬物治療を考慮します。一方、動脈硬化が認められなければ当面生活習慣の改善のみで経過観察していきます。 その上で数値の悪化、動脈硬化の進展が認められれば薬物治療を考慮します。
中性脂肪(TG)については食生活の改善で効果が期待できるためまずは間食、炭水化物、糖質、アルコールの摂取制限等を指導し、改善が認められない場合のみ薬物治療を考慮します。 善玉コレステロール(HDLコレステロール)低値の場合は喫煙者に対しては禁煙指導を行ない、非喫煙者に対しては生活習慣の指導を行ないます。
糖尿病
糖尿病は心・血管疾患の危険因子となるばかりでなく、長期間高血糖が持続すると網膜症、腎症、神経障害等の合併症を併発することが恐ろしい病気といわれている理由です。 従って年齢、他の疾患の有無等で個々に評価すべきですが、合併症を防ぐという意味ではA1c値を7%以下にすることがとりあえずの目標です。 まずは生活習慣の改善を行ない、効果が不十分であれば薬物治療を考慮します。また網膜症の有無も評価する必要があるため近隣眼科専門医と協力の上治療方針を決定します。 血糖が異常高値でケトン陽性の急性代謝失調の場合、糖毒性を疑う場合は早急の血糖コントロールが必要となるため入院設備のある近隣医療機関を紹介させていただきます。
生活習慣病は自覚症状に乏しく、放置すると生命に関わる疾患である反面、早期に治療すれば全く怖い病気ではありません。 生活習慣病を指摘されたならまずは健診結果等を持参の上受診して下さい。